Samurai Journal of Chemistry

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Intel最強mac miniを化学系研究者が1年使ってみた結果


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あまり更新していないのですが、地味にアクセスが増えていて嬉しいですね。

 

さて、今回はM1 Max Macbook Proが出て物欲MaxなIntel Mac miniユーザーによる

実際Intel macどうなん??

という所を1年間の使用感も踏まえてレビューしていきたいと思います!

 

Intel Mac miniの現環境

CPU: 3.2GHz 6コア第8世代Intel Core i7 
メモリ: 64GB 2666MHz DDR4
GPU: Radeon RX 5700XT
ディスプレイ: LG 4K 42インチ1枚、LG 4K 32インチ1枚

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4Kディスプレイ上でモリモリアプリケーションを起動してみた状態
怪物M1 Max Macbook Proとの比較

Nishiki-Hubさんのブログ記事を参考にさせていただきました。

 

CPU:惨敗ですね。CPUだけはM1と比べてかなり引けをとっています。シングル性能、マルチ性能ともに歴然の差です。ただ、今のところメインで使っているアプリケーションの動作がカクツク現象はあまり起きていません。(気になったアプリ動作は後述します)

 

メモリ前回記事では、メモリ32GBでいいかと言っていたものの、64GBに増設しました。これは、Parallels Desktopmac 32GB, win 32GBの割合でメモリを割り当てて使っていたため、メモリが振り切れることがあったからです。Parallelsを常用しないのであれば32GBで良いと思いました。

メモリ数はM1 Maxの最上位モデル64GBと同じですが、その処理速度と処理効率に差があり、おそらくM1に軍配が上がります。M1 proのメモリ32GBモデル、16GBモデルで遜色がないのかが気になるところですが、実際の動作は比較してみないと何とも言えません。

少なくとも現在の64GBメモリ搭載mac miniを使用していると、平均的に空きメモリは5~10GBくらいになっている印象です。過不足ない状態なので、同様に多数のアプリケーションを立ち上げる環境を想定するのであれば64GB欲しいかなと思うんですが、Apple SiliconはCPU, GPU, メモリの連携が非常に良いことがウリなので、メモリ数が低くても必要十分なスペックが見込めるかもしれません。

 

GPU:実は、mac mini内臓GPU(UHD Graphics 630)では4Kディスプレイ1枚にしか映すことが出来ず、42 inchのディスプレイに関しては全く映らないこともありました。そこで、intel macに使用できるe-GPU  Radeon RX 5700XTを導入しました。GPUの性能だけで言えば、M1 Max GPUよりも高性能です。YouTuberのように4Kや8K動画を編集することはなく、フルHDレベルの動画編集はFinal Cut Proで問題なくできています。

M1 Max Macbook ProはRX5700XTとほぼ同等のGPUスコアを叩き出していますが、こちらもアプリとの連携次第ではM1の方が快適かもしれません。

重要なのは、e-GPUであるRadeon RX 5700XTが効率的に使われているかということですが、Final Cut Pro, Google Chrome, Word, Power Point, などはe-GPUがしっかり使われているようです。

Finder→applicationフォルダ内でe-GPUを優先的に使ってほしいアプリケーションを右クリック→外部GPUを優先のチェックボックスを入れる

ことでe-GPUが優先的に使われるようになります。私は可能なものはすべてe-GPU優先にしています。

一方、化学系必須のChemDrawは残念ながらe-GPUは優先的に使われていない様子。ただ、それでも他の重いソフトウェアがe-GPUで動いている中、同時にChemDrawを利用してもmac mini内臓のUHD Graphics 630はChemDrawの処理のみに集中することができる状況になり、サクサク動いていました。下図はちょっと不調な時のGPU使用率。本体GPUでもある程度事足りているのでしょうか。e-GPUがもっと使われているときもあるんですが、気まぐれですねー

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GPUの使用率

実際の動作感レビュー

Good Point

ChemDraw (20.1), Delta (6.0.0), parallels desktop 17, Microsoft Officeなど、問題なく動きます。最近多くのアプリがM1に最適化していますが、特に使用感が悪くなることはなく、むしろOSのアップデートやソフトウェアアップデートにより使いやすくなっている気がします。

ChemDrawはA4サイズ6ページにぎっしり構造を書いたファイルにさらに構造を書く上下左右スクロールする拡大縮小するなどの操作を行いましたが、スクロールと拡大縮小はヌルヌルというほどではないですが、全く不満ない程度に操作出来ています。この時のPC使用状況が以下。小さくてみづらいかもしれないですすいません。結構アプリを起動していることがわかります。Google Chromeのタブも20個弱開いていました。これはかなり性能十分なのではないかと思います。

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Microsoft Wordは執筆中のSupporting Information(27ページ)を自動保存機能をONにして編集してみました。文字入力、スクロールなど、なめらかにできました

Parallels Desktop上でのアプリケーションの動作はどうでしょうか。上記テストに重ねてParalleles Desktop Windows 10を開き、Word, Power Point, Chem3Dを同時に立ち上げてみました。Chem3Dは分子量300くらいのフレキシブルな分子を描き、MM2 molecular dynamicsを走らせてみましたが、かなりヌルヌルです。Word, Power Point, ChemDrawの動作も快適です。結構な馬鹿力じゃないですか?

 

Bad Point

悪い点というより、間違った使い方が判明したので記しておきます

実は、42インチディスプレイに、4画面スプリット機能が備わっていました。そこで、e-GPUの4つポートから42インチディスプレイの4つのポートに分岐させ、4つの別々のデスクトップ(すべてフルHD)を表示させて使用していました。32インチも合わせると5ディスプレイ表示だったわけです(やりすぎやって)。Zoomの画面共有やYouTubeの全画面表示が1/4のディスプレイ上で実現でき、他のディスプレイにSlack、Google Chromeメーラーアプリなどを表示しておくことで、Zoomなどでの講演中でも調べ物、メモ、チャット、メールなどがチェックできる状態になっていました。

これはこれで便利だったんですが、GPUを無駄に消費するのか、全体的に動作が遅かった印象があります。少なくとも、上記で試したWord for Macの編集は自動保存の度に動作が止まり、編集中ずっとカクカクでした。

そこで、e-GPUを介して42インチおよび32インチの2ディスプレイに減らし、42インチは最高解像度で使用したところ、実質の表示領域はフルHD4枚の時と変わらず動作が劇的に改善しました。

 

また、Mac miniはやたらとBluetoothが切れることがあったんですが(過去記事参照)、最近なぜか全く切れなくなりました。OSアップデートなどで改善されたんでしょう。よかったよかった。

 

Mac miniに対する不満点としては、e-GPU経由で映しているディスプレイは、再起動後ログインするまで表示されないという点です。この点は改善されないようなので、現在は基本再起動せずに使っています。ただし、Macはそもそもシャットダウン不要なように作られているので、基本スリープしかしていません。アップデートや設定変更などで再起動せざるを得ない状況になった時のみ再起動しています。再起動後、ちゃんと待ってからパスコードを入力すればログインできますが、カーソルがテキストボックスから外れてしまったりしたら、Mac mini本体のHDMIポートからモニターを繋いで見ながらログインしています。正直、不満という不満はこれくらいですね。

 

結論

Intelモリモリmac miniで十分快適!!!
M1 maxモリモリにすれば性能の明らかな向上は見込めますが、現段階でそれは不必要だなと感じました。

現在Laptopを持っていないのですが、M1 iPad Pro 12.9インチが従来のLaptopにできることをほとんどできるようになっているので、Laptopへの物欲もかなり減りました。

唯一困ることと言えば、オンライン懇親会を家でやろうとした時に家にPCがないのでoViceやGatherTownに参加できないということでしょうか。実はこの手のアプリケーションもモバイル端末に対応するように開発を進めているらしく、iPad OSに最適化されてくれればいよいよlaptopは不必要かもしれません。

 

※新規購入は無論M1を購入しましょう笑

NMR解析ソフトDeltaのM1 Mac対応に伴い、Winでしかできないことがほとんどなくなりました。Parallelsもほぼ不要説がありますが、実はParallelsのいいところはParallels Desktop自体よりもParallels Toolsにあると思っています。アプリ画面を四隅に寄せる機能やメモリ解放、その他諸々Parallels Toolsは活躍してくれます。

 

いつか現環境のM1 Max Macbook Proすら雑魚扱いされるスペックのPCが出てきたらもう一度考えます。

それではでは。

 

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